MuseScoreは、無料でオープンソースの Windows 用 NVDA screen reader のサポートが付いています。 現在、Windows 用 Jaws や Mac OS X 用 VoiceOver など他のスクリーンリーダーはサポートしていません。
この文書は、視覚障害者が MuseScore 2.0 を利用できるよう,書かれています。MuseScore の全機能を詳細に解説する目的ではなく、通常の MuseScore 文書と併せて読んでください。
この書類に記載した機能は、NVDA 付きの Windows で試されています。他のスクリーンリーダーや他のオペレーティングシステムでは異なる働きとなるか、あるいは全く機能しないかも知れません。
現時点で MuseScorew 2.0 は、スコアを編集することより、読むために使われるのがほとんどです。この書類はスコアを読む機能に重点を置き、スコアを編集することについては簡略に説明します。
初めて MuseScore を利用すると、スタートセンターのウィンドウを以後全く働かないようにしたいと思われるかもしれません。そうするには、まずスタートセンターウィンドウを閉じ、それから編集メニュー(Alt+E)、環境設定と進み、その中で、”スタートセンターを表示する” のチェックを外します。環境設定のウィンドウを閉じるとその設定が保存されます。
MuseScore のユーザーインターフェースは他のスコア編集や文書を扱うプログラムと類似に働きます。ドキュメントウィンドウが一つあり、その中でスコア作業をします。このウィンドウの中で、MuseScoreは複数の文書をタブを付けて取扱えます。また、2つの文書を同時に作業できるよう、分割スクリーン表示もサポートしていますし、各々のウィンドウで複数のタブを使うことができます。
スコアのウィンドウに加えMuseScoreにはメニューバーがあり、個別のメニューへのショートカットキーでアクセスすることもできます。
もちろん、MuseScore を使ってスコアを読む人にとって、ファイルメニューが大いに興味が湧く、唯一のものでしょう。メニューを開き、Up や Down キーをなんどか押せば、全体が明らかになるでしょう。
MuseScore の中には色々なツールバー、パレットやサブウィンドウがあり、Tab を使って、項目を順に進む事ができます (あるいは Shift+Tab でそれを逆順に進みます)。MuseScore を開始したりスコアを読み込んだ時、スコアのウィンドウに注目するでしょう。タブを押してツールバーが現れ、新規、開く、再生などなど、一連の作業ボタンが示されます。タブはその時点で動かないボタンを飛ばします。これらボタンの名前とショートカットキー (もし該当すれば) をスクリーンリーダーが読み上げます。
ツールバー上のボタンを一巡したら、次のウィンドウタブで、パレットにゆきましょう。これがスコアに色んな要素を加えるのに使われますが、現在タブで行けるのは2つのボタンに限られていて、別のワークスペース (パレットを保存する機能) を選ぶドロップダウンと新しいワークスペースを作るボタンです。
例えばインスペクターや選択フィルターといったオプションウィンドウを開いていると、タブキーでそこに行けます。いらなくなったウィンドウを閉めるには、表示メニューにゆき、最初の一組のサブメニューのチェックボックスがどれも選択されていなことを確かめましょう。標準設定では、パレット、ナビゲーターと MuseScore Connect だけを選ぶことができ、ナビゲーターと MuseScore Connect はタブではアクセスできません。
ツールバーやサブウィンドウを訪問した後は、ESC キーを押して、スコアウィンドウに焦点を戻しましょう。ESC キーはスコアウィンドウで行った選択を消去することにも使います。
MuseScore 2.0 を開始すると、最初に “My First Score” というタイトルの空のスコアが例として読み込まれる、という初期設定になっています。編集機能を試してみたいなら、これを利用するのも良さそうです。でなければ、たぶん、スコアの読み込みから始めたいということでしょう。MuseScore で利用できる標準のシステムコマンドへのショートカットキーは、例えば:
Ctrl+O (Mac: Cmd+O) ファイルを開くCtrl+S (Mac: Cmd+S) 保存する
Ctrl+W (Mac: Cmd+W) 閉じる、
などです。
スコアを読み込もうと Ctrl+O (Mac: Cmd+O) を押すと、標準のファイルダイアログ (実際は Qt が提供) が示されます。 MuseScore はそのドック時のフォーマット (MSCZ あるいは MSCX) のスコアを開くことができ、標準MusicXML フォーマット、MIDI フォーマットのスコアや、 Guitar Pro、Capella、Band-in-a-Box のソフトで作られたスコアをインポートすることが可能です。スコアを読み込むと、スコアウィンドウの中に新しいタブで表示されます。スコアウィンドウの複数のタブからタブへ Ctrl+Tab (Mac での対応はありません) で動いて行くことができます。
読み込んだスコアは、音符から音符へと読んでゆくだけではない他の面白さがあります。スペースキーで MuseScore にスコアを演奏させられます。ファイル/エクスポートを使って、 PDF、PNG、WAV、MP3、MIDI、MusicXML など他のフォーマットに変換できます。そして、もちろん、ファイル/印刷あるいは Ctrl+P (Mac: Cmd+P) でスコアを印刷することが可能です。
スコアが複数の楽器を含んでいるのなら、関連するパート譜が既に作られていることもあるでしょう。関連するパート譜は、スコアタブの中にパートタブとしてありますが、現在は、これらパート譜のタブをキーボード操作で動きまわる方法はありません。パート譜がスコアとは異なる情報を含んでいるといったことは通常はなく、(各パートがそのページに)異なって表示されているだけです。まだパート譜が作られていないのなら、ファイル/パートで行うことができ、表示されるダイアログを使います。パート譜を印刷したいのなら、ファイル/パートのエクスポートのダイアログを使って、ひと手間で全パート譜を自動的にPDFでエクスポートでき、各パートタブを個別にアクセスする不便さを避けることができます。
スコアを読み込むとまずスコアウィンドウはキーボードに焦点を当てていますが何も選ばれていません。スコアを読む第一歩は何かを選ぶことであり、もっとも自然な開始場所はスコアの最初の要素です。 Ctrl+Home (Mac: Cmd+Home) でそうします。また、もう一つ便利なのは、選んだものを解除する ESC キーです。
要素間を動いてゆくに連れて、スクリーンリーダーは、選ばれている要素(スコアの一番上の譜表の始まりにある音部記号ということになるでしょう)の名称を与えます。(例えば”ト音記号”といった)要素の名前が読みあげられるのが聞こえ、(例えば、第一小節、第一拍、譜表1といった)位置情報も与えます。用見上げる情報量をカスタマイズすることは現在は出来ませんが、もっとも重要なものを最初にし、それを全部読みあげる前、あるいは残りの部分は無視して、次の要素に速やかに移動できるようにと私たちは試みています。Shiftキーを押する読み上げは中断するのも、役に立つでしょう。
MuseScore内のナビゲーションは音符と休符周りのみに集中していて、音部記号、調号、拍子記号、縦線やその他の要素はスキップします。標準のRight and Left キー操作でスコアの中を移動し、音符と休符(そしてそれに付属する要素を)のみを聞くことになります。しかし、2つの特別なナビゲーションコマンドがあり、スコア全体をよりよく把握するのに有用でしょう。
これらコマンドは音部記号や他のナビゲーションコマンドがスキップする要素を含み、同じ譜表の全ての声部をナビゲートすることができます。一方、Right and Left といった他のナビゲーションコマンドは、意図的に他の声部に変更するまで、その時点で選択されている声部のみをナビゲートします。例えば、2つの声部がある第1小節の第1拍の4部音符にいるとすれば、rightを押すと声部1の次の音符、即ち第2拍、に移動しますが、 Ctrl+Alt+Shift+Right (Mac: Cmd+Option+Shift+Right) を押した場合は第1拍のままで声部2の音符に移動します。その時点の譜表のその時点の拍にある全ての音符を移動した場合に限り、このショートカットキーで次の拍に動きます。スコアの内容を全て知ることができるようナビゲーションをするのに有益であるよう、このショートカットキーは設けられています。
ある要素をナビゲートする際、スクリーンリーダーはそれについての情報を読み上げます。音符と休符に関しては、歌詞、アーティキュレーション、コード記号など、それに付属する要素についての情報も読み上げます。現状で、これら要素を直接ナビゲートする方法はありません。: Up と Down 単独で、あるいは Shift や Ctrl / Cmd を付けても、ナビゲーションでの有効なショートカットにはなりません。むしろ、それらはその時点で選択している音符の音高を変化させます。読もうとしているスコアを、うっかり編集してしまわないようご注意を。 ナビゲーションでは、 Up や Down は Alt オプションでのみ利用可能です。次のナビゲーションショートカットキーの一覧表を参照下さい。
スコアを”水平”移動するショートカットキー:
スコアを”垂直”移動するショートカットキー:
次の要素: Ctrl+Alt+Shift+Right
Alt+Up と Alt+Down は、Ctrl+Alt+Shift+Right とCtrl+Alt+Shift+Left と類似に、スコアの内容を探検する補助となるよう考えられています。一つのコードにいくつ音符があるか、一つの譜表にいくつの声部があるか、スコアにいくつ譜表があるかを知らなくても、これらのコマンドにより"垂直”に動いてゆくことができるのです。
歌詞やコード名といった要素を除き、スコアを読む際に選択フィルタ (F6) を使うことが出来ます。読みたくない要素のチェックを外します。
スペースキーで再生の開始と停止の両方ができます。音符を選択している場合にはその音符から再生が開始し、選択していない場合には再生が最後に停止したところから、初めての再生であればスコアの最初から始まります。
MuseScoreは、練習の為に楽譜の一部を繰り返すことができるよう、ループ再生をサポートしています。ループ再生の”開始” と ”終了” 位置の設定には、再生パネル (F11) を使います。:
表示/再生パネル (F11) を使うと、スコアのもとのテンポを変更できるように、ループ再生と再生のパラメーターを操作できます。
現在、スコアの編集は簡単ではありません。スコアへの記載には多くのスコア要素をマウスで操作しなくてはなりません。加えて、要素間で相反する点に関してMuseScoreの限定的なサポートにより、様々な要素を目で見て手で修正することが必要です。
それに対し、MuseScoreは既定値を十分設け、音符入力の基本を試す場を提供しています。
音符入力モードに入るには、まず入力したい小節に行き、それから N キーを押します。音符入力に関するほとんどがキーボードからできるよう考えられていて、その手順について標準文書が役立つでしょう。MuseScoreが音符入力モードなのか通常モードなのか、曖昧になりがちなことに留意ください。疑問が生じたら ESC キーを押しましょう。もし音符入力モードに居たなら、それから抜けることになります。通常モードに居たなら、そのままですが、何かを選択していた場合にはそれは解除となります。
編集 / 環境設定 / ショートカットキーで、キーボード・ショートカットをカスタマイズできます。時に、補助に特化したショートカットキーや、ショートカットキー定義の保存と使用の方法を提供することがあります。