コード表記法
コード表記 とは、音楽の和音・和声を簡略に表したものです。(詳しくは 和音 (ウィキペディア)をご参照ください) 例:
注: 小節をスラッシュで埋めることについては、スラッシュで埋める や リズミックスラッシュ表記 切替 をご参照ください。
MuseScore は次のものをサポートしています:
- コードネーム: アルファベット A-G のコード名、例えば
Am
([wikipedia] (https://en.wikipedia.org/wiki/Chord_notation)) といったコードの性質を併せたもの - ナッシュビル・ナンバー・システム (NNS) (MuseScore 3.3 以降): アラビア数字に
6m
(wikipedia) といったコードの性質を併せたもの - ローマ数字分析 (RNA) (MuseScore 3.3 以降): ローマ数字に
vi
(wikipedia) といったコードの性質を併せたもの
コード記号
アルファベット A-G のコード名にコードの性質を併せたもの
コード記号を入力
- 開始する音符あるいはスラッシュを選択し、
- Ctrl+K (Mac: ⌘+K) を押すと、
- カーソルは譜表の上に位置し、入力できる状態になります。コード記号の入力は通常のテキストと同じで、次の通りです:
- 根音: A, B, C, D, E, F, G.
- シャープ: # (# 記号, UKキーボードでは Alt+3)
- フラット: b (小文字の "b")
- ダブルシャープ: x (小文字の "x") あるいは ## (シャープを2つ)
- ダブルフラット: bb (小文字の "b" を2つ)
- ナチュラル: CtrlShift+H : ご留意いただきたいのは、根音以外に用いた場合には移調や再生には反映されませんし、MusicXML へのエクスポートにも反映されない点です。
- 他の記号については、下の コード記号の構文 をご参照ください。
- カーソルを前後に動かしてコード記号の入力を続けるか編集を行います。(下記 ご参照)
- コード記号の入力モードを抜けるには、Esc を押します。
コード記号の入力から抜けると、タイプした文字は適切な文字に自動的に切り替わります。既定値の設定では、小文字で入力された根音は大文字に変わります (他のオプションについては、下の 自動大文字 をご参照ください)。
臨時記号の入力
臨時記号は専用の書体に自動的に変換されます。例えば "#" (ハッシュタグ)は自動的にシャープ記号(♯)に変わります・
ユニコード文字の U+266F(sharp sign, ♯) や U+266D(flat sign, ♭) を入力したりコピー・ペーストなどはしないでください。MuseScoreはそれらを適切に変換することができません。
キーボード コマンド
コード記号の入力中、次のコマンドが使えます。
- Space カーソルを次の音符・休符・拍へ移動
- Shift+Space カーソルを前の音符・休符・拍へ移動
- Ctrl+Space (Mac: Cmd+Space) コード名に空白を追加
- ; カーソルを次の拍へ移動
- : カーソルを前の拍へ移動
- Tab カーソルを次の小節へ移動
- Shift+Tab カーソルを前の小節へ移動
- Ctrl (Mac: Cmd) + (1~9) カーソルを数字が意味する拍に対応して移動 (例; 6 なら2分音符分)
- Esc 抜ける
コード記号の構文
MuseScore は、コード記号で使われる省略法の多くを理解できます。
- メジャー: M, Ma, Maj, ma, maj, Δ (三角形は t や ˆ を入力)
- マイナー: m, mi, min, -
- ディミニッシュ: dim, ° (小文字の o) と表示されます。ジャズスタイル では別で o (ギリシャ語のオミクロン) の表示に)
- ハーフ・ディミニッシュ: ø (0 数字のゼロ を入力; ジャズスタイル, では別で 0 (ゼロ) と表示されます。) もちろん mi7b5 といった入力もできます。
- オーギュメント: aug, +
- 次のような省略も有効です: 拡張 や 変更 b9, #5, sus, alt, and no3, 転回 や スラッシュコード C7/E, コンマ, 括弧 でコード記号の一部や全体を囲むもの
コード記号を編集
既に入力したコード記号は通常のテキストと同じような方法で編集できます。テキスト編集 をご参照ください。
移調でのコード記号
コード記号が含まれる小節でメニューの 移調 コマンドを使うと、コード記号も自動的に移調されます。そうしたくない場合には、ダイアログの中の "コード記号の移調" のチェックを外します。
コード記号テキスト
全て の コード記号 テキストの表示を調整するには、次の方法を使います。
- メニューから フォーマットt → スタイル → テキストスタイル → コード記号 を選んえ、求めるテキストプロパティを編集します。
- コード記号を選択して インスペクタ で修正し、その設定を続けるなら "スタイルに設定" ボタンを押します。
コード記号のスタイル
併せて フォント をご参照ください。
コード記号 のフォーマットオプションにアクセスするには:
- メニューから フォーマット→スタイル…→コード記号 を選びます。次の表題の下で調整できるプロパティが表示されます。
表示
3つの選択肢: 標準、ジャズ と ユーザー定義 があり、ラジオボタンを使って選びます。
-
標準 スタイルでは、コード記号テキスト スタイルで指定したフォントでの簡単な表示です。
-
ジャズ スタイルでは、 MuseJazz フォントを使った手書き風で、上付き文字や他の形式も使えます。ジャズ テンプレートを選択した場合には ジャズスタイルが既定値として選ばれます。
-
カスタム スタイルでは、コード記号の表示をカスタマイズでき、以前のバージョンで作成したスコアでも利用可能です。
カスタマイズした コード記号 スタイル ファイル を下のフィールドで選びます。 "スタイル" フォルダーに予め用意されているファイルをコピーして編集して作ることもできます。関連説明は同じフォルダーに用意されています。但し、この機能は上級者用であることと、将来にわたってこういったファイルが利用できるかどうかは不明である点、ご留意ください
音符のスペル
標準で、MuseScore はコード記号に文字名を使います。他の名付け方を使う地域のユーザー用に、MuseScore は次の方式を提供しています。
- 標準: A, B♭, B, C, C♯,...
- ドイツ語: A, B♭, H, C, C♯,...
- すべてドイツ語: A, B, H, C, Cis,...
- ソルフェージュ: Do, Do♯, Re♭, Re,...
- フランス語: Do, Do♯, Ré♭, Ré,...
自動大文字
MuseScore の規定値では、入力が大文字小文字のいずれであっても音名の全てを入力次第自動的に大文字とします。ですが、自動大文字で他の設定を選ぶこともできます。
- マイナーコードを小文字に: c, cm, cm7, ...
- ベース音を小文字に: C/e, ...
- すべて大文字: DO, RE, MI, ...
また自動的に大文字とする機能を全てオフにすることもでき、その場合、音符名は単に入力した通りになります。
配置
- フレットボードダイアグラムまでの間隔: フレットボードダイアグラムがある場合、コード記号がダイアグラムからどの程度 上 になるかの値で、負の数も使うことができます。
- 最小のコードの間隔: コード記号間のスペース
- 縦線の距離の最大値: その小節最後のコード記号と次の縦線との間隙。スコアで、小節最後の記号と次の小節の最初の記号がしょっちゅう重なる場合にだけ、この値を調整するのが良いでしょう。
注: ここに記載した設定に加え、テキストスタイル ダイアログでの設定がコード記号のディフォルト位置を決定しています。これは累積的に影響はします。
カポ
カポ位置のフレット番号を入力すると、そのスコアの全てのコードの後ろに、括弧書きでカポ適用による代替コードが表示されます。
コード記号を音符に転換
プレイバック:コード記号 / ナッシュビルナンバー に設定されたようにプレイバックで聞くことができるよう、スコア上にコードの音符を並べるには:
- 1つ以上の小節を選択し、
- メニューから、ツール→コード記号を記譜 を選びます。
コードの性質を変える
次のようなプラグインを使います:
- Chord Level Selector
- PruneStack
- Next inversion: replaces all chord(s) in (keyboard) selection with their next inversion
ナッシュビルナンバーシステム
(MuseScore 3.3 以降)
ナッシュビルナンバーシステムはコードを文字ではなく音階に従ってコードを表す方法です。
それにより、異なる調でも同じコードチャートを使って演奏できる利便があります。
ナッシュビル表記の入力を始めるには:
1. 開始する音符を選択し、
2. メニューから 追加→テキスト→ナッシュビルナンバー を選びます。
通常のコード記号と同じように、ナッシュビル記譜をタイプすると、MuseScore がそれを認識し適切な記号に変換します。通常のコード記号入力と同じキーボードショートカットがナッシュビル記譜でも使えます。(例えば Space 、上記 をご参照ください
ローマ数字分析 (RNA)
(MuseScore 3.3 以降)
通奏低音 と混同しませんよう。
ローマ数字分析は 大文字・小文字のローマ数字 (I, ii, III, iv 等)、上付き文字、下付き文字やその他の記号を用いた和音の分析方法です。調に縛られることなく和音とその関係を記述するよう音楽の教科書で一般的に用いられています。(さらに詳細は 外部リンク ご参照ください。)
注:MuseScore は通常のコード記号とナッシュビル記譜には独自のアルゴリズムを用いていますが、 RNA の表示には プログラムと一緒にプレインストールされる Campania フォント を既定値としています。これにより、入力後ではなく 記号をタイプした時点で MuseScore がフォーマットします。また、Compania フォントを通常使うフォントとしてシステムにインストールすれば、他のプログラムでも利用できます。
RNA に入る
- 開始する音符を選択
- メニューから 追加→テキスト→ローマ数字分析 を選択。あるいは、予め 環境設定 でその動作をするキーボードショートカットを作っておきます。
- そのコードに対する RNA 記号を、通常のテキストと同様、次のように入力:
- メジャーコード: 大文字のローマ数字
- マイナーコード:小文字のローマ数字
- ディミニッシュコード: o (小文字のオー)
- ハーフディミニッシュコード:0 (数字のゼロ)
- オーギュメンテッドコード:+
- 転回形コード: 一番高い音符を最初にして、3桁までの数字を入力
- 臨時記号: シャープには # 、フラットには b、そしてナチュラルには h を入力します。これらは、即座に適切な上付き文字の ♯ 、♭ や ♮に変換されます。
- その他の記号 を変換しないようにするには、その記号の前にバックスラッシュ “\” を置きます。この方法は例えば “b” の文字や単なる記号としての “#” や数字などを使いたい場合にも使えます。
- 他の記号については、下記 の画像をご参照ください。
- カーソルを前後に動かし、他のコードの記号を入力、編集(下記の コマンドをご参照ください)
- RNA の入力が終わったら、 Esc を押すか、スコアの空白部分をクリックして RNA を抜けます。
通常のコード記号と同じように RNA をタイプでき、MuseScoreはそれを認識して適切な記号に変換します。RNA でも通常のコード記号と同じキーボードショートカットを使うことができます。(上記 ご参照)
RNA の例
次のようにタイプすると:
次の結果となります:
プレイバック
(MuseScore 3.3 以降)
プレイバック: コード記号 / ナッシュビルナンバー をご参照ください。
ハーモニーやコードの識別
次のようなプラグインを使います: